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stride‼︎

第6章 デート デイ


今日は昨日とはうって変わって風がなく過ごしやすい陽気だ。
店舗が並んだ通りを日々人と手を繋いで歩く。

あの後大家さんに電話して明日の午前中にアパートに行くことになった。
アパートは火の割に消火が早かったせいか被害は少なかったようで、修繕するとまた住むことが可能だし、アパートの中に入っても問題ないらしい。
ただ、消化の際の水と消化剤で部屋はかなりぐちゃぐちゃになってしまっているようだ。
明日はまだ使えるものを探して持ち帰ることになった。
1人じゃないことが、日々人がいてくれることが本当に心強い。
ぎゅっと手を握ると、「ん?」と尋ねるようにわたしを見下ろす。

いつか日々人にこの優しさを返したいなぁ、と思う。
ううんと首を振ってまた歩き出す。

粗方の必要な物を買って、コーヒーを買ってベンチに座る。
「ゆめ、疲れてない?体平気?」
「うん。大丈夫!」
エヘヘと笑うと日々人も笑う。
「ならよかった。でも今日はもう帰ろう。
やっぱまだ本調子じゃない感じがする。
疲れた顔してる。」
「ほんと??
あっでも最後にウルイープカだけ寄りたいんだけどいい?
ディミトリーがすごく心配してくれてたから、元気な顔だけ見せたいの。」
「オッケ。じゃ、行こっか。」



カラコロン…。
扉を開けるとディミトリーは1組のお客さんを接客中で、わたしと日々人に気づくと軽く手を挙げて奥で待つように目配せし、また接客に戻る。

わたし達は邪魔にならないように店の奥の休憩室に移動した。
休憩室に置かれた小さな黄色いソファに並んで座る。
「俺も入ってよかったかな?」
「うん。大丈夫だよ。ディミトリーの家族とかよく来て居座ってるし。」
「はは。居座ってんだ。」
「うん。妹のアンナなんてしょっ中きてるよ。
ザ、ロシア人てかんじで金髪色白でめちゃめちゃかわいんだよー。」
「へー。」
「気になる??」
「うん。」
「………。」
下唇を突き出してジトーっと日々人を見る。
「…え?え?なんで?なんか怒ってる?」
「…だって、アンナのこと気になるって言った…。」
「いやいや、ゆめが振ったんじゃん。
てか別にその気になるじゃないし。会ったこともないし。」
両手を上げて慌てる日々人がかわいくて、プッと吹き出してしまう。


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