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stride‼︎

第5章 火事


今日は空気が乾燥しているせいか、朝から喉の調子がおかしかった。

「ゆめ今日調子悪い?」
ディミトリーが心配そうに聞いてくれる。
「ん、喉の調子がちょっと悪いだけで大丈夫です。
ありがとう。」
にこっと笑顔で返す。
「風邪流行ってるみたいだし、無理しないでね。
今日は忙しくないし、早く上がっても大丈夫だから。」
「ありがとうございます。
でも、体は元気だから、ほんと、大丈夫です。
ここ、ディスプレイ黄色のこのシリーズに変えちゃいますね。」
「ん、よろしく。」

2人それぞれに仕事をこなしていると、外が暗くなってきて、すぐに閉店の時間になる。

「あー、ここのディスプレイがやっぱ納得いかない〜…。」
「はは、できない日はいつまでやってもできないよ。
今日はそれで諦めて、また明日やりな。」
「…はぁい。
ディミトリーのディスプレイはこんなに可愛いのに…。
わたし、まだまだだなぁ…。」
はぁ、とため息をついていると、
「そう?
僕はゆめの感性好きだよ。
僕にはないもの持ってて、たまになるほどなぁって思うもん。
でも、まぁ今日のディスプレイのコーディネートは、60点かな。」
「うぅ…。今日帰ったら、雑誌見て、勉強し直してきます…。」
「うん。頑張れ若者。」
くしゃくしゃと頭を撫でてくれる。

お店を閉めて外に出る。
「明日から土日でバタバタするし、喉ひどくならないように、あったかくして、今日は早く休んでね。」
「はい。ありがとうございます。
じゃあ、お疲れさまです。」
「お疲れ。」

なんだか少し頭がフラフラする。
今日は本当に早く寝たほうが良さそうだ。
マフラーの前を搔き合せてアパートに急ぐ。

家に近づくにつれて、何かが燃えてるような臭いがする。
人がチラホラ家からでてきて周りを伺ったりしている。
なんだかすごく嫌な予感がして、走り出す。

アパートの周辺はすごい人だかりができていた。

「…ウソ……。」
アパートの横の家が凄い勢いで燃えていて、アパートまで火が移っている。
頭が真っ白になってしまう。
立ち尽くしていると、消防車が何台か来て、消化作業がすぐに始まる。
火はなんとか消されたが、アパートは崩れはしなかったものの入れる感じではなくて、ぺたりとその場に座り込んでしまう。


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