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stride‼︎

第3章 ハンバーグとギターとキス


「…でも一番幸せなのは、日々人と一緒にいるときだよ。」
恥ずかしくて声が小さくなって少し掠れてしまう。
でもこれが本音で、ちゃんと伝えたくて…。
日々人は少し目を見開いてから、すごく幸せそうに笑う。

「俺も。ゆめといると幸せ。」

向かい合わせに座った小さなテーブルはお互い身を乗り出せば届いてしまう距離で、吸い寄せられるように唇を重ねる。
テーブル越しの距離が少しもどかしい。
体温を求めるように、日々人の手が二の腕のあたりに優しく触れる。

ちゅ、と微かな音を立てて唇が離れ、目を合わせて微笑み合う。
キスの名残を惜しむように、二の腕に触れていた手を掌の方に下ろして、指を絡めるように繋ぐでもなく重ねる。

「そういえば、むっちゃんが来週コッチに来るみたいだよ。
で、飲みに行こうって言ってるんだけどゆめも来る?」

日々人が重ねた手のわたしの指を弄びながら言う。
くすぐったくて、手を返して恋人繋ぎで日々人の手を握る。

「むっちゃん…??
あっ!この前言ってた訓練でロシアに来るお兄さん?」
「そうそう。」
「えっでも兄弟水入らずのとこにわたしなんかが行っていいかな?」
「もちろん!」
日々人がにこりと笑う。
「じゃあ、行きたい!」
「うん。また曜日と時間決まったら連絡する。」
「うん!」
わー!日々人のお兄さんだぁ。
2人のときってどんな感じなんだろう。
楽しみだなぁ。




「さて、と。んじゃ俺はそろそろ帰ろうかな。」
いっぱいしゃべっていると、いつの間にか、夜の11時を回っている。
日々人といると、時間が経つのが早すぎる。
「うん…。」

寂しくて離れがたくて、きゅっと立ち上がった日々人の服の裾を掴む。

「別れがたい…ね。」
日々人がそう言って座ったわたしを屈んで抱きしめてくれて、同じ気持ちなんだと胸が熱くなる。

こくりと頷いて、座ったままじゃ抱きしめにくくて、立ち上がってぎゅっと日々人を抱きしめる。

日々人がわたしにキスをする。
今までみたいに優しいキスじゃなくて、食いつくような深いキス。
うまく息継ぎできないわたしに、少し唇を離してくれる。
そのタイミングで少し目を開けると日々人の熱を帯びた目と目が合ってドキリとする。
でもすぐに角度を変えてまた唇が合わさって、わたしは何も考えられなくなってしまう。


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