第1章 出会いはいつも突然に
「あっお客様!待ってくださーい!
商品お忘れですよー!!」
店の古いドアを開けるとカランコロンといつもの可愛い音がなる。
私は今買ったばかりのワンピースを忘れてしまった客を追いかけて、店を飛び出した。
少し雪のちらつく寒い日だった。
私のブーツがかつかつと石畳を叩く。
客の姿に気をとられていると、ドンっと誰かにぶつかってしまう。
「あっすみませ…。」
よろけてしまった私を大きな手で支えてくれたその人は、見覚えのある顔で私は固まってしまう。
「ごめんごめん、こっちこそよそ見してた。」
ツンっと尖った色素の薄い髪。
「ああー!南波日々人…飛行士!!」
思わず呼び捨てにしてしまい、慌てて飛行士をつける。
あっしかも日本語になっちゃった。
「あっ、君日本人か。はは。日本語久しぶりに聞いたわ!」
支えていた手を離しながら、日々人が人懐こい笑みを浮かべる。
「わー!初めまして!!
って、それどころじゃなかった!!
私お客さんを追いかけてて…。
それじゃ、失礼します!!!」
ペコリと頭を下げて、走って客を再び追いかける。
「はは、なぁんかそそっかしい子だなぁ。」
これが私と日々人の出会いだった。