第114章 開花。
「征君は・・・・どこ?」
赤司「僕は僕だ」
「違う・・・あなたじゃない。私はあなたじゃない征君のモノ」
赤司「お前の言う赤司征十郎も、今目の前に居る赤司征十郎も、どちらも赤司征十郎だ」
「そうだけど、でも・・・」
赤司「近いうちにお前の言う僕は居なくなる」
「え、どういうこと!?」
赤司「あいつは必ず僕を必要とする」
「そんなっ・・・」
もう、頭の中がぐちゃぐちゃで・・・
ただ征君が・・・征君じゃなくなってしまう
そのことだけが頭をぐるぐると回る
「征君・・・居なくならないで・・・」
私は征君にしがみつき、涙を流して訴えかけた
すると征君は、私を強く抱きしめて言った
赤司「すまない・・・・・」
この言葉は・・・いつもの征君の言葉
私はこの日初めて・・・・
自分の事を”僕”と呼ぶ赤司征十郎に出会った
それから私は・・・・この日出会った彼の事を”赤司君”と呼ぶことにした
赤司君は、いつの間にかよく出てくるようになっていた
征君はいつも私に謝った
「征君、謝らないで?何も征君は悪くないじゃない!それに、征君も赤司君も、どっちも私の大好きな赤司征十郎には変わりないじゃない」
赤司「・・・」
「私は何があってもずっと征君の傍に居るよ」
赤司「ああ・・・俺もだよ。・・・」
私も征君も・・・本当は不安だったのかもしれない
だからお互いにこんな風に口に出して約束をする
お互いが居なくなってしまわないように