第2章 胸はずむ
第一戦から激しくド派手な戦闘。爆発個性の爆豪君はいたぶる様に緑谷君と戦っているのに、緑谷君は頑なに個性を使おうとしない。すごい迫力の超パワーだって、聞いてたのに。何か作戦があるのか、それとも無策でただ逃げているだけなのか。切島君の「男のすることじゃない。」に共感しかない。
お互いの全力がぶつかり合いそうになったときは胸が騒いだ。爆豪君と緑谷君の本気、間違いなく強個性の二人がぶつかり合うんだ。興奮しないわけがない。
緑谷君が爆豪君ではなく上に向かって手を指し、核のある場所を守る委員長君に隙ができ、お茶子がそこを突く。
鳥肌が立った、彼の考えとその能力に。最初からこれを狙っていたっていうの?この設定の訓練だっていうことはさしおいて、彼は頭が切れるし、自分の力量を過小評価しすぎている。
でも、それもうなずける。彼の個性を使った後の腕は骨折したというレベルではない。破損に近いんだ。
怪我人の緑谷君は運ばれ残りの3人が講評を受けている。推薦入学者らしいヤオモモの回答に苦笑いを浮かべつつ、爆豪君を見た。
何かに絶望して、今にも消え去ってしまいそうな姿見で。どうしても放って置けなくて足が動く。
「爆豪君。」
「あ?誰だテメェ、」
空ろな目のまま私を力なく睨む。心底鬱陶しそうな顔をする。
「アナタはここで終わりなんかじゃないでしょ?」
彼の視線がばっちり私に合う、それと同時に目をそらされちゃった。でも、どこか気付いた表情をしていたから、結果オーライかな。
よーし、二人の個性見て対策でもたてるかな~!