第6章 【番外編】休校の2日間
「はい。」
「さんきゅー。」
パフェが届いて一番に電気に一口差し出す。私の差し出したスプーンのまま口に含み頬張る電気。
「うんまっ。ほい、お返し。」
「ありがと。」
電気も一口サイズに切ったパンケーキを私に寄越してくれた。ふわふわのパンケーキに染み込んだメープルが何ともいえない幸福感を与えてくれる。さぁ、自分のパフェを食べようと口に運んだ後、気付いてしまった。
間接キスじゃないか、と。
そう思った瞬間顔から火が出てるのではないかと疑う位に熱くなった。恥ずかしい、穴があるなら入りたい。何で気付けなかったの私!!
「...だから言ったのに。」
「電気気付いてたの!?何で言ってくれなかったのよ!!」
「俺は別によかったし、奏は嫌だった?」
「べ、別に嫌って訳じゃないけどさ。」
「ならいいじゃん。」
そういう問題じゃない!!!って心の中で100億回くらい突っ込んだけど恥ずかしさが勝ってそれ所じゃない。電気はどこまで本気なのか、それともからかってるだけ?後者ならタチが悪すぎる。
間接キス騒動でパフェの味なんかほとんどわからなかった。どうしてくれるんだ。
「あ~お腹いっぱい。この後も行きたいところあんだけどさ時間ある?」
「あるよ、どこ行くの?」
「秘密。」
「また~?」
もったいぶってばかりでちょとずるい。それでもニコニコ笑って誤魔化されたら流されてしまう。私ってもしかして流されやすい?
「んじゃ、出るか。」
「うん。」
手荷物を持って立とうとする間に電気はさらっと伝票を掻っ攫って行った。まって、奢るとか言い出したら申し訳なさ過ぎて死ねる!
「電気、ダメ。自分で食べた物くらい私払うか。」
「いや、男が奢るものだから。俺に奢らせてくれよ、な?」
「ダメ。それだけは本当に申し訳ないから。譲らない。」
「どうしても?」
「どうしても。」