第6章 【番外編】休校の2日間
洋風レストランといった感じで品があるもののそれほどまでに高いお値段設定でもなくむしろ優しさを感じる程。電気のチョイス侮れない。
「ん、美味しい。」
「それな、めっちゃ美味い、流石俺が選んだだけあるね。」
「自分で言うと台無しだけどね。」
お互い注文したものを食べて軽く会話を交わす。メニュー表にのってる写真の数々はどれも美味しそうで選ぶのに二人して時間を掛けた。あーでもないこーでもないって言ってる時間も電気と話してて退屈とかも感じなくて、結構仲良いんだなって他人事のように思った。
「なぁ、デザート何食う?」
「いちごのパフェ一択。」
「んー、俺はメープルパンケーキにでもしようかな。」
「一口頂戴よ、私のもあげるからさ。」
「え、別に俺はいいけど、いいの?」
「全然いいけど、どうして?」
「あ、いや別に。」
ランチにとった物は既に空になっていて、電気が呼んだ店員さんが注文を聞いた後お皿を提げてくれた。次の注文が来る間も電気は絶えず私に話を振ってくれる。体育祭の事や指名の話、どんなヒーローになりたいとか。私たちにはぴったりすぎる話題だった。
「おまたせしました。メープルパンケーキといちごのパフェになります。」
「ありがとうございます!」
「あ、あの、雄英体育祭出てらっしゃいましたよね?」
「は、はい。そうです。」
電気が店員さんにお礼を言うと、急に此方を向いて言うのだ。思わずそうだと返事をしてしまった。店員さんはおもむろに色紙とペンを出して私に差し出した。
「貴方の準決勝で戦う姿を見てファンになりました!よかったらサイン書いて頂けませんか?」
「わ、私にですか!?」
まだプロにもアマチュアにもなれていないヒーロー科の生徒である私に、だ。驚かないわけがない。
「貴方の戦いを見て、女の子でもこんなに強くて頑張れるんだって思ったら勇気を貰えたんです。私も強くなろうって思えました。」
店員さんは私なんかにこんなにも暖かい言葉をくれた。嬉しくて、涙が出そうになるのを堪えて、彼女が持っていた色紙とペンを受け取りサインした。「貴方の思いに恥じないヒーローになります」と添えて。
「雄英体育祭ってやっぱりすごいんだね。」
「俺も女の子から声かけられねーかな。」
「うっわ、サイテー。」