第6章 【番外編】休校の2日間
目がさめるとそこは自室だった。いつの間にか寝てしまったようだ。雄英入学と共に故郷である関西を出てここで暮らし始めた。ごく普通のアパートだ。もちろん客人用の布団などもない為、父と母も帰ってしまったようで、リビングの机の上に置き手紙が置いてあった。
因みに私が関西弁を控えているのはキツイ女に見られがちだから、それとこの歳になって表向きにパパとママとは言えないのだ。
「作り置きしたから食べてね、か。」
冷蔵庫を開けるといくつかのタッパーが入っていた。母の手料理なんて家を出て行った時以来で、昨日も夢だったんじゃないかと錯覚を起こしてしまいそうだ。でも、ここに残っているタッパーが現実だと物語ってくれる。鼻歌を交えながら朝と昼兼用ご飯を食べる。こっちにきてから味の濃いものばかりだったから久しぶりの西の味に感服した。
「もう1時過ぎか。」
時計を改めて確認すると昨日の疲れでかなり眠ってしまったようだった。本当に昨日の体育祭は怒涛といっても過言ではないし、能力限界も容易に超えた。ドラフト指名がたくさんくればいいな。きっと次の登校日に発表になるだろう。
おもむろに携帯を開きメッセージアプリを開く。誰に聞かれるでもなく、あまり携帯を学校で出さないからかもしれないけど私の友達爛は家族を除けば電気しか登録されていない。電気に「明日何時にどこ集合?」と送れば一瞬で気毒になる。暇なのかな。
「明日いつもの駅!」
「10時!」
「よろしく!」
「私服楽しみー!」
一個にまとめて送ればいいのに、と思いつつ彼らしいメッセージになんだか和んだ。可愛らしいスタンプが送られてきたので無難に「OK」と書かれたスタンプを送り返し、携帯を閉じた。
なんだか少し楽しみなんだ。