第5章 うなれ体育祭
「絶対に、勝つんだ!」
「勝つのは俺だァ!!」
爆豪君と最後のぶつかりあい。この一撃を入れたほうの勝ち。お互い体力も、許容量も限界を迎えている。その上を行く物だけが勝ち残れる!
「空気砲!!」
激しい轟音がして、目を開けた。
そこにいるのは戦っていたはずの爆豪君ではなく、私が個性で破壊してしまったであろう壁。私は試合に出てたはずなのに、どうして?
「ちょっとアンタ!目が覚めたと同時に個性ぶっ放してどうしたさ?」
「リカバリー、ガール。何で、私は爆豪君と戦ってた。」
「おい!大丈夫か!?すごい音聞こえたけど!!??」
「切島、君。電気に、瀬呂君まで。何で、私、準決勝を。」
準決勝を、していたはず。ああ、そうか。爆豪君の動きが止まったと思っていたけど、そこで止まってしまったのは私だったのか。
「一回落ち着くさね。まだ気持ちの整理もできてないんだね。」
「リカバリーガール、ごめんなさい。壁壊しちゃった。」
「いいよ、アンタはここに運ばれてからもずっと魘されてた。夢の中でもずっと戦ってたんだね。」
「はいッ。わたし、負けてしまいましたッ...!」
切島君たちのいる前でみっともないほど涙を流す。悔しい、最後の一歩で彼に負けてしまった。決して届かない存在でもなかったのに、最後の詰めが私の方が弱かった。
「原操、すっげぇかっこよかったぜ。」
「そうそう、俺ら上で見てたけど、爆豪相手に全然怯まない奏、超かっこよかった。」
「原操に抜かされた分、俺も追い越さなきゃな。」
そうだ、私は爆豪君に負けたんだ。負けたままに終わらせては成長できない。瀬呂君にも直ぐに追い越されてしまう。ここで、泣いたままではダメだ。
「有難うッ。私、もっと強くなってみせる。」
「おう!俺も絶対ェ負けねえかんな!」
「ああ!そうだ、俺ら呼びにきたんだよ。これから表彰式だぞ。」
「え!?決勝は!?どっちが勝ったの!?」
「あー、それがな....」
「?」
どこか遠い目を向ける切島君に疑問しか浮かばない。