第5章 うなれ体育祭
「私はッ、負けない!!」
ギィイイ、ギィイイ、と軋む音を奏でる。それは古びた館の床を踏んだ時の音に等しい。もう、立ってるだけで精一杯。それでも、私はここで動かなきゃいけない、彼に勝つ。常闇君に勝ってくれって言われたんだ。電気にも瀬呂君にもたくさん励まされたんだ。私が失ったものを取り返すんだ!
「絶対に、勝つんだ!」
「勝つのは俺だァ!!」
震える膝に鞭を撃つ。膝だけじゃない、全身だ。どこを動かしても軋む音しかしないし、激痛が走る。それでも、私は、この先へ___
アレ、なんで爆豪君が止まって、るん、だ ?
爆豪Said
「絶対に、勝つんだ!」
「勝つのは俺だァ!!」
俺の最大威力、榴弾砲・着弾(ハウザーインパクト)を打ち消しやがった。俺だって腕がビリビリと悲鳴を上げてやがる。あんな物をいくつもいくつもは撃ってられねぇ。
けど、丸顔みたいに目が死なないままに、俺とここまで対等に戦う戦闘狂女。最初の戦闘訓練でもその個性の応用力と自らの身体能力を見せてきた。
アイツは俺に憧れと尊敬をしていると言ってきた。でもそれは俺のほうかもしれない。アイツの能力と頭脳を買った。だから騎馬戦のときに迷わず声を掛けた。俺は少なからず原操を認めていた。
だからこんな余計な世話焼いちまうのかもな。
最後の攻撃と互いに仕掛けたとき、急に原操の足が止まった。俺をまっすぐ見据えた、いや、俺のその先を見据えたままに、意識を失った。不安定な体制のまま倒れた原操を腕で抱き留める。
「腕が限界の奴の腕にもたれ掛かってんじゃねェよ。」
「原操さん失神!爆豪君の勝利!」
「よって決勝は、轟対爆豪に決定だあ!!!」