第5章 うなれ体育祭
走って観覧席に戻るともう既に、爆豪君VS切島君の戦いは始まっていた。でもまだ始まったばっかりって感じでとにかくよかった。
「あ!原操さん、お疲れ様ですの。コレを受け取って貰えませんか?」
「ヤオモモもお疲れ。え、何くれるの?」
手渡されたのは新しいジャージ。あの後ダークシャドウにあげてから私にはジャージが無かった。
「ヤオモモ~マジ有難う!なんかジャージ着てないのがそんなに目立つのかすっごい視線だったの!本当有難う!」
ヤオモモからのジャージを有難く受け取って着る。そのままに開いてる席にドカッ、と座り彼らの試合を食い入るように見る。
切島君の硬化は爆豪君の爆破を防いでる。私もあんな風に身を固めれば、嫌それをいちいち造ってるならもっと他にする事もあるし、本当に爆豪君とどう戦えばいいの...!!
「原操、また追い込んでんぞ。」
「瀬呂君、でも、本当に勝たなきゃいけないって思いと彼には勝てないって思いがあるの。」
「奏が勝てないって思ってるなら勝てねぇよ。俺だってあんな負け方とたけど勝つって思っていったんだからな。」
「それは俺も。こいつと同じ位活躍の場無かったけどさ、勝ちたいって思って戦った。その気持ちもないまま行ったらそれこそ爆豪にどやされるぞ。」
「轟が緑谷に怒られたみたいにな。」
電気と瀬呂君に励まされ、及び腰だった自分が恥ずかしくなる。そうだ、勝てないなんて生半可な気持ちで挑まないって心に決めていた私自身がその信念を曲げるなんてありえない。
「ごめん、有難う。私絶対に勝つわ。勝ってみせる。」
「おお、俺らも楽しみに待ってるわ。」
「くれぐれも殺されねぇようにな。」
「爆豪君はそこまで酷くありませーん。」
有難う、もう二度とそんな事言わない。