第5章 うなれ体育祭
「原操、おい、原操ってば。」
肩をやさしくトントン、とされて起こされる。顔を上げるとやはり瀬呂君だった。あ、またやらかした。USJのときに爆豪君にした過ちを瀬呂君にまでしてしまった。
「わ、わわ、ご、ごめっん!!!」
慌てて取り乱す私をみて瀬呂君はふはっ、と鼻で笑った。何かちょっとムカツクな。
「いいっていいって、俺も寝てたし、いい物も見させてもらったしな。」
「いいもの、?」
いいものって何だよ、って思ってもきっと教えはくれないだろうから聞きもしなかった。瀬呂君が立ち上がると、そろそろ時間かもしれないと教えてくれた。
「お互い頑張ろうな。」
そういいながら私の頭を撫でてくれる瀬呂君、あまりの急なことにドキッ、としてしまいながらも力強く頷いた。「先に行く。」と立ち去る瀬呂君の背中を少し見つめた。
あ、頭撫でられちゃった。しばらくはこの顔の熱をとる事に専念しよう。しょうゆ顔イケメン恐るべしすぎる。ほんと、この学校に来てからのドキドキ体験多すぎて本当に吃驚する。
心地よかったはずの光が、今はとっても暑いや。
それぞれの思いを胸に、あっという間に時は来る。