第5章 うなれ体育祭
「峰田さん上鳴さん騙しましたわね!?」
昼休憩中、ヤオモモと響香が峰田君と電気から聞いたという相澤先生の言伝を聞いた。いや、相澤先生が言わないなんて事ある?もし言い忘れがあるのなら直接言うか、飯田君あたりの人に伝えるのが定石だと思うんだけど。でも、二人の事を100%疑うことも出来ず、結局ヤオモモが衣装を創った。
そしたら周りは誰もチアの格好なんぞしてない、という思い描いたオチだったわけだ。
「アホだろアイツら...。」
「私はどうしてこうも峰田さんの策略に...。」
うなだれる二人には気の毒すぎて何もいえない。それに私自身コレは恥ずかしい。普段はカッコイイという要素があるから肌を出す事もあるけど、これはかっこよくもないし何よりも出しすぎだ。チラチラと気まずそうに視線を送ってくる男子たちにも申し訳ない。ほんと、みんなスタイルいいから映えるのであって私はちょっとこういうの、似合わないッス。
自らの思案に浸っているとモニターにトーナメント表が出た。夢にまで見た決勝戦。くじ引きによる組み合わせらしい。
「あの!...すみません、辞退します。」
控えめに、然しはっきりと、その言葉を口にしたのは尾白君。騎馬戦での事を気にして辞退するらしい、B組の子もそれにのっとって辞退した。空いた2枠を埋める形で他のB組の人が入った。人生の大分岐といっても可笑しくないこの場の事を考えると、もったいないって言う言葉があうのかもしれないけど、二人の決心は人間としての心が出来ている上での発言。そこを称えてあげなければならない。
「と、いうわけで塩崎、鉄哲が繰り上がって16名!組み合わせはこうなりました!」
初戦、青山君。二戦目、常闇君かヤオモモ、三戦目は多分爆豪君だろう。相手にとって不足なし、十分すぎる強敵に何故かわくわくしてしまう。