第5章 うなれ体育祭
「原操やるな〜。まさか作戦通りに行っちまうとはな。」
「言ったでしょ、必ず出すって。私達の後ろで轟君と緑谷君が戦ってるなら尚更。」
「しゃあ!1000万行くぞ!!」
「絶対ェ獲る。」
Pを奪った後急いで緑谷君達の元へ向かう。時間も時間だ、終了してもおかしくない。多分、この後は爆豪君が先に行ってしまうだろう。1000万は未だどっちの手に渡っているのか、此方としても把握しきれてない。
てか、あれ?なんか常闇君のモンスター、なんかちっちゃくなってない?気のせいか?
「あ、ちょ!爆豪ー!!」
思ったそばから飛び出してしまった爆豪君。そして終了の合図と共に真っ逆さまに落ちた。痛そ〜。悔しさを滲ませる爆豪君を見て、此方も疲れた息を吐いた。ちょっと能力を出し過ぎたかもしれない。電気の打った電撃を蓄電したまま保つって、練習はしてたけどかなり難しい。当の電気はアホになってる。
なんとか騎馬戦は2位に落ち着いたけど、次は多分トーナメントになる。真の力が見られるのはトーナメントだ。ここで勝ち上がって優勝を掴む。
「んじゃ!1時間ほど昼休憩だー!」
プレゼントマイク先生のアナウンスが入り昼食を囲む。ヤオモモや梅雨ちゃんと話しながら食堂で食べる。今日はがっつりカツ丼で!
「奏ちゃんお疲れー。」
「お茶子もお疲れ、凄かったね、轟君相手によく立ち回ってた。」
「いや〜、私は何もしとらんよ〜。」
頭を掻きながら視線をあっちこっちと巡らせるお茶子。自分の活躍ではないと謙虚な姿勢を見せる彼女に無意識的な感じで頭を撫でていた。可愛いなこのやろう。
「私も、轟さんの策に甘んじていただけですわ。」
その隣でまたヤオモモは呟いた。彼女の実力、頭脳、個性は十分強い。それでもそう自らを卑下する事があるのだろうか。
「今悔しいって思うなら、トーナメントでやり返しちゃえばいいのよ!」
2人の肩を叩いて、自分にも言いつける。私も、爆豪君を頼りすぎていた気がするよ。
「それにしても奏ちゃん、体育祭でもヒールの靴なのね。」
梅雨ちゃんが気付いて発言すると他の1-A女子も私の足元をみる。ピンヒールのお気に入りショートブーツ。こんな時でもではなく、こんな時だからこそ履くんじゃん!