第5章 あなたのためなら
「そうかそうか〜、トラファルガーの奴のか。」
「ごめんね、着いてきてもらっちゃって。…私があの船を出る前にどうしてもあげたくって。」
リンは、手に持っている物を太陽にかざした。
それは光を透き通し、その光は様々な方向へ反射した。
「すげェ綺麗じゃねェか、それ!!」
「えへへ。なんと私が作りました〜!」
リンはちょっと自慢気に言う。
「リンが作ったのか!?すげェ…おまえ、食いもんだけじゃなくてこんなのも作れたのか。」
「しかもこれはただのブレスレットじゃないの。私の“力”が入っているのよ。」
このブレスレットが私の代わりになってくれる。
ローを守ってくれるはずだ。
「へェ、いいなァ…。おれも欲しい!!」
「あ、あげるわけないでしょ!そんな何個もばらまいていいもんじゃないんだし!」
思わず大きな声をあげてしまった。
(エース、気を悪くしたかな…。)
“ごめん”と言いかけたその時。
「そっか!トラファルガーの奴にあげる大事なやつだもんな。わりィ!!」
エースは人懐っこい顔で笑った。
そんな顔をするのはやめてほしい。
こっちが何か悪いことをしたような気分だ。