第5章 あなたのためなら
「…リン、おまえはどうするつもりなんだ。」
エースが口を開き、リンはぎゅっと手に力を込めた。
「ローは強い。私なんかに守られるような人じゃないわ。」
リンは唇を噛み締めた。
「……でも…海軍の勢力を向けられたら…勝ち目なんてないじゃない…!」
青キジ、クザン。
黄猿、ボルサリーノ。
そして赤犬、サカズキ。
「私がここで海軍に行かなければ…海軍大将の3人がローを狙ってくる。ローの命が晒される…!!」
体が小刻みに震える。
「おまえはそれで後悔しねェのか。」
後悔。
海軍に行ったら、私は後悔するだろうか。
もっとローと居たいとは思う。
だけど―――
「私が海軍に行くことで…ロー、そしてクルー達の命が助かるんだったら私は………後悔しないわ。」
タイムリミットはあと1日。
後悔するかなんて考える暇はないだろう。
「そっか!なら、おれは応援するぜ。…まぁおれだってオヤジの言うことを全部聞いてるわけじゃねェ。」
「オヤジ?」
「オヤジってのは、白ひげのことだ。オヤジにはティーチを追いかけちゃだめだと言われてんだけどよ、おれは勝手に船を出てきちまった。」
エースはそう言うと、歯を見せてにやっと笑った。
「後悔しなきゃ、それでいい。自分が正しいと思う道を行こうぜ。」
エースの言葉は、リンの荒ぶった心を落ち着かせるのに充分すぎるくらいだった。
「エース…1つお願いが…ちょっと着いてきてくれない…?」