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Girl meets Girl?

第2章 名前


「誰それ」


うわぁ!と大袈裟に聞こえてしまったであろう私の悲鳴に若干引きながら、花ちゃんは私が眺めていた昨日の絵が描かれたプリントを手に取った。

まだ2限が終わってすぐにも関わらずもう片方の手にはコンビニのパンがあって、甘そうだね。とお返しがてら苦笑いをかますと「甘い物苦手なんだっけ?」と言いながらそれを私の口に突っ込んだ。
美味しいでしょ。と感想を求められ頷いてはみたけど、正直私が進んで買うようなものではないのでなんとも言えなかった。


「これ二年生のやつじゃん。
なんでかほが持ってるの?兄弟いたっけ?」


ううんと首を振り、最初に誰にも言わないでねと耳打ちをしてから昨日二年一組の教室であった事を話した。


「で、なに?好きになったの?」


「すぐそうなる…違うよ。凄く綺麗な人だったからね、あの人が良ければちゃんと描かせてほしいなって」


なんだそんな事か、とでも言うように私の話が終わったと同時に花ちゃんはため息をついた。


花ちゃんは割りと恋愛には興味がある方だと思う。

教室でもたまに他のクラスの女の子の話を聞いたりしているし、周りから見れば冷たい印象の本人も、話を聞くのは好きらしくそのような話になるといつも声のトーンが上がる。
そしてかなり饒舌になる。


「はぁ…冷めてる。ドライだねー乾燥しきってるね。そんなに絶賛するほど綺麗な人なら、普通の子だったらとられたくないと思って誰にも言わないけどね。

アタシも大概冷たい人だと思われてるみたいだけど、話してみればあんたの方が厄介だよね、絶対」


「そ、そんなこと…ない」



口ごもってしまったのは、そう言われた経験があるから。

周りにあまり感心を持てない私は、好きになったものにはとことん愛情をぶつけてしまうため、これまで付き合った人には、
「クールなのが好きだったのに、重い」
と言われてフラれた。



花ちゃんにも一度、「花ちゃんが思っているよりも、私は花ちゃんが好きだよ」と言ったことがある。
そういう発言が重たいんだよ、と言われてからは他の人にも言わなくなったけど、言わないと心配になるのだ。

私は自分の気持ちを相手に伝えるのが苦手だから。


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