• テキストサイズ

Girl meets Girl?

第2章 名前


「…恥ずかしいわ。私ったら早とちりしちゃって…」

「み、実渕さんは何も悪くないんです!私が最後まで言わずに濁していたから…」


結局私は、例の"せいちゃん"に近づく為に実渕さんを探していたという誤解を解き、昨日うやむやにしてしまった分謝りたかったのとモデルをお願いするつもりでいたということも、きっぱりと話した。





「女の子の気持ちなら何でも分かってあげられるつもりでいたけど、まさか私に用件があるなんてね。

ごめんなさい。…冷たい態度だったのはね、また征ちゃんに近づきたい女の子が来たのかなって、少し嫌になっちゃって。
…あ、今私が言った事、他の女の子には内緒よ?」


少しだけ屈んでぽんと私の頭を撫でた後、実渕さんは唇に人差し指を当ててぱちんとウインクをして見せた。

…美人ずるい。そんな仕草が似合ってしまうのも貴方の特権だ。



先ほどとは確かに違う。
血液の温度が上昇して体内を駆け巡っているみたいで、身震いする。

……実渕さんに相談を持ちかけた女子生徒達は、途中で彼に恋をしたりしなかったのかな。



自覚したら、この人も離れていく。
分かってるから、諦められる。



「……もうすぐ昼休み終わりますね」


モデルの事は、時間の流れと一緒に忘れてもらおう。
私は特にその話題にも触れず、扉が開いた教室から見えた時計を見つめて呟いた。

実渕さんも、そうね。と軽く会釈してじゃあまた。と、また頭を撫でてくれた。


…優しすぎて、綺麗すぎて。

なんだか泣きそうになるのを堪えながら自分のクラスへと続く渡り廊下の方へと足を進める。



「あ、」



「…?」






*






「…そういうの、一目惚れって言うんじゃないの?
あと顔ニヤけてる」


ニヤけてる、と花ちゃんに指摘されてもうまく口角が下がってくれないのは、某メッセージアプリを開いた私のスマホのに"レオ"という文字と、実渕さんの自撮りらしきアイコンが表示されているからだった。




「…やだ、実渕さんには嫌われたくないし」


スマホの画面を落とし、これは憧れだからと笑って見せると、花ちゃんはいつもの仏頂面を更に歪めて不満そうにため息をついた。
/ 18ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp