第10章 甘いもの 兵頭十座 甘裏
コンコンコン
「十座?入ってもいい?」
しーん
「勝手に入っちゃうよ〜」
ガチャ、バタン
十座は自分のスペースの机に突っ伏していた。めぐは横にしゃがみ、声をかけた。
「十座、なんか怒らせちゃった?もし何かしちゃったんなら謝りたいんだけど…」
すると十座が顔を上げ、イスから立つとめぐと同じようにしゃがんで抱き寄せた。
「何しちゃった?」
十座『めぐは悪くない』
「え?」
十座『俺が悪い』
「十座は何もしてないよ?」
十座『俺が勝手に…嫉妬しただけだ』
「十座がヤキモチ?」
十座『めぐのためにパソコンに張り付きでスイーツセットを注文した至さんと千景さん。めぐのために茶を淹れる臣さん。さっきみたいなことをさらっとやっちまう摂津。俺はめぐのために何もしてやれねぇ。そんなこと考えてたら、あの場にいるのが耐えられなくなっちまった』
「…ぷっ、あ、ごめん。でも十座、一緒に食べてくれる人がいて一緒に美味しいって思えるのって素敵なことじゃない?そりゃ、1人で食べても美味しいけど、誰かが一緒に食べて一緒に笑えるって幸せだよ。それは十座が一番わかってるよね?だからわたしは十座と一緒で幸せだよ!」
十座『めぐ…』
「十座はさ、もっと自信持っていいんだよ。俺なんかって思わないで。俺だから出来ること、いっぱいあるよ!」
十座『…ありがとな…』
「いいえ!じゃあ残りのスイーツ食べに行、」
十座『もう少し……一緒にいてぇ…』
「素直な十座ってレアだね、いいよ。」
十座『さっき摂津にキスされたのどこだ』
「キスではないけどね。確かこの辺だ、!?」
ペロ
十座『……消毒…プイッ』
「…十座も、口にクリームついてるよ」
十座『?どこだ、ん!』
チュッ…チュッ…
「はぁ、…仕返しだよ♪」
十座『あんま煽んな…止まんなくなるだろ…』
「止めなくていいよ、ね?」
十座『分かっててやってんのか…質悪ぃな。嫌だって言ってもやめてやれねぇぞ』
「ん、いいよ。」