第11章 こっち見て 増長和南 甘裏
グイッ、ドン
「ぅあ!びっくりしたぁ…ってこれ、いわゆる壁ドン?」
和南『相談っていうのは口実。百が気を利かせてくれたんだ』
「百が?なんで?」
和南『最近めぐと話そうと思ってもなかなか話せないことが多くてね。百がそれに気付いてしまったから2人にしてくれたんだ』
「あー、そういえばあんまり話してないかもね。ってカズ、すっごい顔近いんだけど」
和南『うん、近づけてるからね。』
「2人なんだし、離れてもよくないかな?」
和南『ダメだよ、俺だけ見てほしいから。』
いわゆる壁ドン。めぐは手首を壁に押さえつけられている。足の間に和南の膝が入っているのでどうにも出来ない。顔も鼻と鼻がつきそうな距離にある。
和南『めぐが俺だけのものにならないのはわかってるけど、やっぱり妬いてしまうな。』
「珍しい、カズがヤキモチ妬いてる」
和南『それは違うよ、いつだってみんなに妬いてる。言ったら君を困らせてしまうから抑えこんでいるだけでね。』
「へぇ、完璧主義者のエリートドッグがヤキモチ妬くなんて。ファンが聞いたらギャップ萌えだね♪」
和南『今はめぐが好きで好きで、独り占めしたいただの男だよ。』
「そんな風に思ってもらえて光栄です♪で、この状況は変わらないんだね」
和南『うん、俺の気持ちはこれだけじゃ伝わらないと思うよ。これから俺がどれだけめぐに焦がれてたか、教えてあげる…』
お互いの唇が触れるギリギリの距離で囁かれ、めぐ和南の海のような青い瞳に見惚れていた。