第10章 絶対譲らない 愛染健十 甘裏
健十『今回ばかりはめぐの意見には賛成出来ないな』
「絶対これだけは譲れません」
なぜ、こうなったのか…遡ること3時間前。
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つばさ『次のTHRIVEの新曲がこちらです。』
〜♪〜♪〜♪〜♪〜♪
剛士『曲名はthe one&onlyか』
悠太『なぁんかかっこいいねぇ♪』
健十『THRIVEらしい感じだね』
つばさ『はい、コンセプトは騎士の誇り。既にめぐさんにもお伝えしているので、衣装も間もなく提案出来るとの事でした。』
コンコンコン、ガチャ
「おはよーございまーす。新曲の衣装のラフ案でーす」
剛士『出前みたいなニュアンスで言うんじゃねぇよ』
「わかったんだ、剛士。すごいな。」
悠太『めぐちゃん、見せて見せて!』
「はい、これが悠太。これが剛士。これが健十。」
剛士『まぁ騎士がコンセプトだからな。軍服とまでいかなくてもこのイメージだな。』
悠太『色も黒ベースにこの“紅”ってところがいいよねぇ』
「今回は騎士だからあえて帽子は被らない。なので、ヘアスタイルも三者三様にします。基本は髪は上げていこうと思います、」
健十『ちょっと待って。それは俺も?』
「もちろん。」
健十『俺は髪を上げなくても、めぐならどうにか出来るよね?』
剛士『おい、愛染、』
「わたしがどうにかするじゃなくて、これはコンセプトに沿った最善の提案だよ」
健十『だとしても。俺は違うヘアスタイルを提案してほしいんだけどな。』
カチン
「愛染さん。これは仕事の話です。私情を挟まないでください。」
悠太『ありゃりゃ、めぐちゃんのスイッチ入っちゃった…』
剛士『はぁ、俺は知らないぞ…』
そう。めぐは普段大抵のことは何とかするし遂行する。だが、たまに絶対譲らない部分がある時にぶつかるとこうなるのだ。
普段はゆるい話し方をしているギャップもあり敬語で淡々と話をされ、こうなった時のめぐには勝ち目がないので大概のメンバーは降参する。ただ、愛染も今回は譲る気はないようだ。そして冒頭に至る。