第8章 タイムリミットとクローバー
「はいリアちゃん口開けて」
『あ…』
開けれたそこにロールキャベツを一口大に切って運んでやる。
どうやら味覚は機能しているらしく、美味しいとのことだし無理をしている様子もない。
…にしても、この絵面は大丈夫なのだろうか。
「おー偉い偉い、食べれんじゃん」
『…えへへ…♡』
うわ、嬉しそう。
何これ飼いてぇなんつう生き物だこれ。
おっと危ない、このままでは俺までロリコンのレッテルを貼られる羽目に…
「!そういやリア、お前歳いくつなんだ?」
『?誕生日来たら十六歳』
「十六って、お前まだ高校生なんじゃ…」
『学校行ってないの今』
ああ、親がどうとかあったんだっけ。
「……悪い、無神経なこと聞いたな。家どのへん?良かったら送っていくけど」
『…いや、そこまでしてもらわなくても』
「帰んの遅くなるんだ、危ねぇだろ」
『前そんなこと言わなかったのに…』
「あ?何か言ったか?」
『!!い、いえ何でも』
何故だか困惑する様子のリアに、こちらも少し疑問を抱く。
ただでさえこんな組織に入ってりゃ夜に帰るのなんか遅くなるはずなのに。
それを、まあ俺が恋人であったのならば送り迎えをしないわけがないと思うのだが。
「まあとにかく、日が沈んでから一人とか危ないだろ?」
『大丈夫、』
「万が一があったら困『だ、大丈夫です…か、ら』…悪い、首突っ込みすぎたか」
明らかに、拒絶されてる。
まあ、記憶障害を持った俺以上に忘れられた方が困惑するなんておかしな話、なかなか無いだろうが。
赤外線ならぬ、エアドロ様。
そいつがあれば入力なんかしなくていいし。
と、出してもらった携帯のものと思わしき相手にそれを送信すると、上手く送れたらしく画面が光り、そこにはデカデカと俺の寝顔の写真が……?
「…リアさん?」
『………か、幹部さんからかおうと思ってその…』
「いや、それならわざわざ待ち受けにしなくてもいいんじゃ…」
『フォルダ開くよりこっちの方が早いかなってあの、』
「しかも私服だしこれ。こんな写真いつの間に…」
あ、れ。
そういえば携帯の連絡先も何も、そもそも付き合ってたレベルならとっくに交換してたんじゃ。
『…』
「…なあ、お前さ。いつから俺の事知ってた?」
『さ、さあ…なんのことかよく分かんな「何言われても信じるよ」っ、…ほん、と?』
