第8章 タイムリミットとクローバー
『…そ、そんなに言うんだったらその…て、テーブルで待っててあげなくもないです』
待て、もうその話だいぶ前に終わっただろ。
「いや、別にいたい所にいればいいと思うけど…?」
『あ、あのあのっ、で、デザート食べます、??リア、何でも作れるよ!』
話聞いてねえし。
「いや、お前今食事振る舞われる側だから」
『ブルスケッタリアも食べさせてあげます』
「よ、喜んで…??」
いきなり急変する態度についていけなくなってきた。
えっ、いいのか?いいのか???
お前、散々人に最初あんな態度とっておきながらこれって。
____「試しに親しみをこめてリアちゃんって呼んであげなよ、多分なんでも聞いてくれるから」
「そんなちょろい奴いるんですか!?」____
ああ、なるほど。
いたな、ここに、もんのっすごくちょろい奴。
すぐにでもろくでもない男に引っかかりそうじゃねえかこんなんじゃ、簡単に誘拐でもされんじゃねえのか?
って、いや、なんで俺がそんな事まで心配してんだよ、これでもマフィアの準幹部だってのに。
ピックを使って口元まで持ってこられるそれに、恐る恐る食いついてみれば、ビー玉みてぇに丸っこいその蒼い片目の瞳をキラキラ輝かせてやがる。
やっべ、こいつマジで可愛いかもしれねぇ…
「……って、俺がお前に作ったんだよなこれ!?俺に食わせてどうすんだよお前がつまんでろ!」
『えっ、一緒に食べないんですか?』
「一緒にも何、も…あ、ああ?一緒に食いてえの?」
『……あ、…!?ち、違…ま、間違ったの!!違うから、!!』
間違えた…というとつまりは素の部分だったりするわけですかね、このお嬢さんの。
「いや、食いてえんなら全然ご一緒させてもらうけど」
『ほ、本当??』
「お前よくちょろいって言われねえ?」
やっぱりどうにも純粋すぎる気がする。
悪い大人になんか簡単に騙されてしまいそうな。
「まあ、可愛らしくていいと思うけど…変な大人に連れてかれんなよ?ったく…」
『……、キュゥ、』
「え、?」
小さく、高い声で鳴かれたかと思いきや、無意識にそいつの頭に手を乗せて撫でていたらしく…それも可愛らしいなどと口にしていた事実にようやく気がついて、全力で恥ずかしがってくれてしまっているそいつにこっちまで恥ずかしくなったきた。
なんで俺、頭なんか撫でて…
