第8章 タイムリミットとクローバー
『改めまして、白縹リアです。初めましてとよろしくと、あとちっちゃいですね貴方、大人なのに』
「まだ成長期なんだっつの」
『あっ、じゃあ私朝ご飯食べてきますね〜…幹部のカードいっただき★』
「あ゛!!?俺の財布…っおい、手前!?」
新人の歓迎祝いだとでも思って〜!あー優しい!!
なんてほざきながらとっとと出ていく女を止めようともしない首領。
「ちょっ、首領!?なんなんですかあれ!?俺一応幹部ですよね、ちょっと今自分の立場疑ってるんですけど!!」
一瞬でも綺麗な奴だなんて思った俺が間違いだった。
とんでもねえ女だ、関わるとろくなことがなさそうな。
「えっ、可愛いでしょ?中也君の従順な部下だよ」
「従順ってどこがですか??」
「ははは、まあ…僕個人としても大恩ある昔からの知人でね。……可愛がってあげてよ」
「可愛げ無いような奴に何を「いいから。面倒見てあげて」…面倒って言ったって、言うことさえまともに聞かないだろうと思いますけど?あんな奴」
初めて見るレベルだあれは。
さては俺が幹部であると知らな…いや、思いっきり知ってたな、クソ幹部とかほざいてやがったし。
黙ってれば普通にまだ綺麗なのに、口を開いた途端あれとは。
どうしてそれを思った途端に自分がどこか落胆したのか、俺にはまだ理解できなかった。
「え?中也君の言うことなら聞くでしょ、いい子だよあの子」
「どこがですかね。俺の言うことを最も聞きたがらなさそうにさえ見えましたが」
「試しに親しみをこめてリアちゃんって呼んであげなよ、多分なんでも聞いてくれるから」
「そんなちょろい奴いるんですか!?」
正気かこの人。
いや、しかしまあ落ち着こう、なんだったか。
白縹?つったか??
「……ってそうだ、俺財布盗られてッ」
「リアちゃんなら多分食堂でしょ。狙いは君のカードで食堂のメニュー制覇だろうし」
「そんな事のために財布盗りますか!?」
「あの子中也君大好きだからねぇ、からかいたくなったんでしょきっと」
ふふふ、と本当に微笑ましそうに笑う首領に寒気さえ感じた。
俺を??大好き??
んなわけねぇだろ、あんな忠誠心の欠片も無さそうな奴。
とりあえず寝台から降りて言われるように食堂へと向かってみることにはするが。
「と、とりあえずまた仕事あれば言ってください!」
「休みだから」
