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白夜に飛ぶ鳥【ONE PIECE】

第9章 ヘイアン国




 ローを連れてきたハンゾーがペンギンたちに加わる。何だかんだであいつには世話になりっぱなしだ。

 部屋に戻って痛み止めを飲むと、眠気が襲ってきた。高熱が出て体が辛いので、ローは迷わず横になる。
 眠りに落ちると、の夢を見た。

『キャプテン落ち込んでるの?』

 心配そうな顔をしたがよしよしとローの頭を撫でる。思わず抱きしめながら「全部裏目に出てる」とローは弱音を吐いた。

「リトイを助けられなかった……」

 足手まといになると最初は同伴を断ったのだ。だがリトイは強引についてきた。自分の国のことを、よその人間任せにはできないと言って。
 彼女には覚悟があった。自分で選んだのだ。それでも――。

『キャプテンでも全部は守れないよ』

 わかってる。さえ守れずに失った。だがまるであれが始まりだったかのように、こぼれ落ちていく。
 の手がローの顔を包み込む。心配そうな顔をされて胸が痛んだ。笑ってほしいのに上手くいかない。そんなことさえ自分はできなくなってる。

「会いたい……」

 抱きしめても体温の感じられないこんな夢なんかじゃなく、に会いたい。
 無茶を言われては困った顔をした。

「……ごめん」

 お守りをしてくれなんて言った自分が情けない。自分で思ったより弱っているようだ。それともこれが夢だからだろうか。

『キャプテンは弱音いっぱい吐くくらいでちょうどいいよ』

 ホワイトガーデンで、毒の灰に弱るローにがくれた言葉。だが実際に吐いてみると、どうにも自分が情けなくなるようで嫌だった。
 言わなくてもはいつもわかってくれていたから、それだけで十分だった。

 慰めるように顔を包むの手を取って、ローはその指先に口づける。

「頑張るから、見ててくれ」

 は笑ってくれた。見えないよ、と揚げ足をとって笑う。

『だから代わりに、ミニベポに見てもらうね』

 起きるとのぬいぐるみがちょこんとローのイスに座っていた。

「……お前には負けない」

 小さく笑って指で帽子を弾くと、「ならやり遂げてみせろ」とばかりに小さなクマは笑っていた。


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