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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第4章 悪魔と、死神と、切り裂きジャック



「(シエルさんって玩具メーカーの社長さんですよね?前々から気になってたのですが、アンダーテイカーさんの言っていた“悪の貴族”とかシエルさんの仰ってた“我が紋にかけて排除する”とかって何なのですか?)」


マリアンヌはシエルが時折店を訪ねてきてはアンダーテイカーから裏情報を聞き出しているのを知ってはいたが、それがなんのためなのかはよく分かっていなかった。


今まではあまり気にしていなかったが、今回は玩具メーカーの社長が殺人事件の情報を求めてきたのだ。あまりにも不自然だ。


「そうか、マリアンヌにはちゃんと話していなかったかもしれないね〜。小生はすっかり話していたつもりでいたよ。」


アンダーテイカーは細くて長い指でマリアンヌのダークブロンドの髪をクルクルと弄ぶと、シエルの事を話始めた。



「伯爵は、つまりファントムハイヴ家は国民には極秘とされている女王直轄の特務執行機関として王室に仕えてるのさ。」


「(え?シエルさんが…)」


「ファントムハイヴ家は英国王室の悪行の数々を隠蔽して、王室に害なす存在があればどんな汚い手を使ってもそれを消してきた闇の機関。代々“女王の番犬”とか“悪の貴族”って呼ばれているんだ。」


「(では…今回の事件も…)」


「そう、伯爵が来たって事は憂いた女王のお達しがあったってことだよ〜」


「(そ、そんな…)」


確かにシエルは年齢の割にはどこか冷めてるような、子供らしくないような雰囲気を強く感じていたが、裏でそんな重荷を背負ってるなどとは思っても見なかった。


「(で、ではそんな事情をご存知なのにどうして教えてあげなかったのですか?)」


「ヒッヒッヒッ、コレのことかい?」


アンダーテイカーは1枚の紙切れをマリアンヌに見せるとニヤリと笑った。


「(それのことです!)」


アンダーテイカーは、まだ被害者の裏情報を握っていたが、シエル達に話していなかった。



“理想郷”を見るまでの報酬を貰ったにも関わらずだ。



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