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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第17章 最終章・君は小生の宝物






桜…

小さくて薄いピンクの花。

日本の話はアンダーテイカーからよく聞いていた。

一緒に風呂に入った時に、日本は桜の花が咲く春が1番美しいと言っていた。

本当にその通りだ。

本で見たよりも実物の桜は壮大で、美しいなんて言葉では表せない程立派に咲き誇り、それでいてどこか奥ゆかしい。

着物を着て小股で歩く日本人の女性を象徴している様だとマリアンヌはため息をもらしながらそう思った。

薄いピンクのトンネルに淡く香る甘い花の香り。

10年という長い眠りから生きて目覚める事ができた奇跡に心から感謝の気持ちが込み上げてくる。

魂と自分の肉体が融合した理由やメカニズムはアンダーテイカーにも分からないそうだ。

でも、そんな事はどうでも良い。

このままの姿でずっとアンダーテイカーの側にいられる。それだけでマリアンヌは十分に幸せなのだから。




「(アンダーテイカーさん?)」



「ん?なんだい?」



「(私、嬉しいです…幸せです。自分の身に何が起こったのかは分かりませんが…ずっと貴方の側に居られるのなら、何が起こったとしても構いません。…あ、でも、そうなると、私もアンダーテイカーさんもいつ死ぬのか分からないんですよね…)」



いくらマリアンヌが老いる事のなくなった身体になったとしてもアンダーテイカーに先に死なれてしまうのは勝手ながらそれは寂しい。

自分の死がいつ訪れるのか分からないまま、1人で何十年も生きてくのはきっと不可能だろう。



「そうだね〜、それじゃあ小生は、どちらかに死が訪れた時、2人で安らかに死ねる方法を研究するとしよう。そうすれば君の不安もなくなるだろう?」



「(……そ、そうです…ね。)」



アンダーテイカーはマリアンヌの憂いを取り去りたくて提案したのだが、なんだか表情が晴れない。


どうしたのだろうか。




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