第16章 それぞれの真実
もうこうなってしまっては自分が今心から大切にしているモノを最優先にするべきだ。
「豪華客船を真っ二つにするのは少々気が引けるが、君達の邪魔が過ぎたため勘弁願うよ…」
そう言い静かに大鎌を振り上げるアンダーテイカー。
「アンダーテイカー…!何をする気だ!!」
「…………」
シエルの言葉に何も感じなかったわけではないが、もう気にしてなどいられない。
先程シネマティックレコードで見た2人の契約の内容が本物なら、この害獣は何が何でもシエルを守るだろう。
「派手に散らかしてしまったけど…豪華客船が棺桶になるなんて中々素敵じゃないか……」
「アンタ…!それほどういう意味ヨ!!」
「じゃあね……皆様御機嫌よう……」
ードォォォォォォォォン!!!ー
鋭く睨み思い切り大鎌を振り下ろすと、海上で船首を持ち上げ、垂直になってしまった豪華客船カンパニア号の真ん中は一瞬黄緑の光に包まれ、それと同時に大きな爆発音を上げて真っ二つになってしまった。
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「…………」
アンダーテイカーは瞬間移動の力を使って、マリアンヌとビャクと共に自分の店に戻ってきたのだが、なんだか様子がおかしい。
店の中は空き巣が入った様にグチャグチャだ。
「……オシリスか…」
あらかた想像はできていたが、オシリスはアンダーテイカーにカンパニア号で実験をさせ、ニューヨークに向かってる間に、何か他に機密情報がないか店の中をあら探ししたようだ。
そして、人体蘇生に関する情報を入手でき次第、アンダーテイカーはニューヨークで消すという算段だったに違いない。
「ま、だいたい想像できてたけどね…」
アンダーテイカーは足元に散らばった物を蹴飛ばしながら急いで地下室へと向かった。
まずはマリアンヌの手当をしなければ…