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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第16章 それぞれの真実





「セバスチャン…?おいっ!セバスチャン!!」



気を失っているのか?死んでしまったのか?

中々目を開けないセバスチャンにシエルは何度も呼び掛け身体を揺すった。



「五月蠅いですね…聞こえてますよ…」



目を開け起き上がるが、誰が見てもその姿は満身創痍だ。しかし、セバスチャンはアンダーテイカーを睨みあげながら口に溜まった血を吐き出した。




害獣め……まだしぶとく生きていたか…


「君のレコード、なかなか面白かったよォ〜…でも、やっぱり君は伯爵を不幸にしかしないみたいだ。」



ファントムハイヴに課せられた、女王の番犬としての責任はとても重い。でも、復讐に支配され、悪魔に魂を売るくらいなら、エリザベスと結婚をして、その血を後世に残す人生も悪いものではない。

ずっとファントムハイヴの家系を見守ってきたアンダーテイカーだ。

害獣には今すぐ消えて欲しいが、シエルには何の恨みがあるわけではなかった。



「アンダーテイカー…!!貴様!やめろ!!」



それにアンダーテイカーがセバスチャンを消したい理由はもう1つ。



「それに、君は酒に酔ったのをいい事にマリアンヌを玩具にしてくたよね?まだその支払いも対価も払ってもらってはいない…だから、消えてもらおうかな…」



マリアンヌに手を出された時の事を思い出すと、アンダーテイカーはセバスチャン向けて大鎌を振るうが、その瞬間、船が今までにない程の轟音をたて揺れた。




ドォォォォォォン!!




沈没まで、もう数分だろう。



「リアン・ストーカー1854年8月24日生まれ、1889年4月20日転落事故により死亡、備考特になし。」



アンダーテイカー達がいたラウンジも大きく傾いき、バランスを崩して落下していったリアンがあっけなく死亡をした。


「セバスちゃん、見ての通りホントに時間がないの、悪いけどアイツはアタシが頂くわ、アンタはそこで見てなさい!」



「そうは…いきません!!」



だからといってセバスチャン達も女王の御前に真実を献上する義務がある。

船が沈もうが逃すわけにはいかなかった。



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