第14章 アウローラ学会
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ーアンダーテイカー達が部屋を出る少し前ー
「ほら、やっぱり生きては会えなかったでしょ?だって君、リストに載ってたんだもん。」
ロナルドは3等旅客用食堂で血塗れになって倒れているソフィーに向かって声をかけた。
そして、ソフィーの周りに倒れている人間達の魂を回収しては盛大にため息をつく。
「ホント、やんなっちゃうよね!今だってこんなクソ忙しいのに、ここから本番とかってさ!!」
しかし、これからが“本番”だというのにまだメンバーが1人揃っていない。
ロナルドはやれやれと魂を回収した死体を跨ぎながら外へ出た。
しかし、まさかの光景にロナルドは2度目のため息をつく。
「は〜〜〜〜?!これってガチで超過勤務コースじゃね!俺残業とかしない主義なんスけど。」
そう言ってる間にも、船は警報を鳴らしながらも目の前の巨大な氷山にまっしぐらだ。
「大体管理課も無茶ぶりっしょ!この数の回収…たった2人でやらせるなんて。」
ロナルドは目の前の氷山を見て、すこぶる面倒臭そうだ。
しかしその氷山の上をよく見ると、良く知る人物が1人。
ロナルドは3度目のため息をついた。
「処女航海(ハジメテ)の夜だってのにマナーがなってないわネ。そんな大っきいの強引に突っ込んだら壊れちゃうワヨ?」
自慢の赤髪をなびかせながら船の接近を見つめるとある人物。
そして、カンパニア号と氷山がぶつかると飛び上がり、旅客デッキにめがけて着地する。
「ヤブレ血マミレ処女航海。それはもう、止められない…引き返せない!振り返ってももう遅い!これぞまさに…DIE 航海 DEATH ★」
周りにいた動く死体を自慢のデスサイズで蹴散らすと、お決まりのポーズを決めてロナルドの前に登場した。
その人物は、“切り裂きジャック事件”の一件で謹慎をくらっていたグレル・サトクリフだった。