第14章 アウローラ学会
「(…………)」
アンダーテイカーから聞いていた話だと、今のが“裏の実験”スタートの合図だそうだ。
この船には巨大なボイラーが中央に設置されており、そのボイラー室を中心に船頭、船尾、2つの貨物庫がある。
そしてこの2つの貨物庫には、カンパニア号に乗り込んだ客と同じ数の被験体が積んでおり、先程のマーガレットが動き出すのを合図に全ての被験体が動き出すしくみになっていたのだ。
少し急ぎ足で部屋まで戻ってくると、ドアを閉め鍵をかける。
「さて…今頃下の階の人間達はパニックを起こしてるだろうねぇ…」
アンダーテイカーはマリアンヌの方を見ると両腕を前に出す。
「(アンダーテイカーさん……)」
マリアンヌはベッドに腰掛けたアンダーテイカーに跨ると、その腕はそっとマリアンヌの身体を包み込んだ。
「…怖いかい??」
「(いえ…アンダーテイカーさんが側にいてくださるなら…)」
マリアンヌはそう伝えると少し口角を上げながら首を横に振った。
「そうかい…それじゃあもう少ししたら、どんな状況か高みの見物といこうか。外は寒いからマリアンヌにはコートを出してあげなくちゃね。」
アンダーテイカーは荷物からコートを出そうと立ち上がろうとした時だった。
ードォォォォン!!!ー
「?!」
「(キャッ!キャアア!!!)」
ーゴゴゴゴゴゴゴゴー
轟音と共に船が大きく揺れた。
「ん…??氷山にでもぶつかったかな?」
今頃船内は大パニックだ。
操舵室から通信室の船員もやられていてもおかしくない。そう考えると今の衝撃は氷山にぶつかったと思うのが自然だろう。
「マリアンヌ、少し急ごうか??」
アンダーテイカーは立ち上がるとコートを荷物から出し、マリアンヌに着せてやった。
「(あ、ありがとうございます…)」
2人とビャクは外に出るため部屋を後にした。