第14章 アウローラ学会
「星屑瞬く漆黒の海が、アタシ好みの薔薇色に染まる!!」
お決まりのポーズを決めて登場したのは良いが周りはまだまだ動く死体だらけだ。
「このシチュエーション!アタシがヒロインを演じるにふさわしい最高の一夜になりそうネ!!」
チェーンソー型のデスサイズを振り回し、動く死体を一層すると、ロナルドに向かってウインクをする。
「相変わらず派手っすね、先輩……もう謹慎はいいんすか??」
呆れたように返すが、グレルはお構いなしだ。
「あったり前よ。だからこうして来てるんじゃない。」
「じゃあ、さっさと終わらせたいんで、行きま…しょう…?」
すると、グレルはあるものが見えると、その目を輝かせ、強引にロナルドの服を掴んだ。
「ちょっと、こっち来なさい!!」
「はぁ…?!いったいどこ行くんですか?」
「見てわからないの?ココよ!ココ!!あんたの手はここよ!ちゃんと支えてなさいよ!」
グレルはロナルドを船首に連れて行くと、柵に足をかけ身を乗り出し、自身の身体はロナルドにホールドさせるような支え方をする様命令した。
「ちょ…先輩…コレって…」
「もう!よそ見してんじゃないワヨ!ホラ、アンタも感じてみなさい!この潮風!まるで全身を愛撫されてるみた〜〜〜い☆」
半ば無理矢理に観劇のワンシーンの様な演出をさせられたロナルド。周りには誰もいなかったが、だからと言っていいわけではない。
「……サトクリフ先輩…」
このテンション。
とても謹慎明けとは思えない。
これから山程仕事があるというのにロナルドはもう既に精神の方が疲弊していた。
「満天の星!豪華客船!大女優が羽ばたく舞台はこーでなくちゃ〜」
グレルはこれからやらなくてはならない事を知っているはず。なのに何故このテンションでいられるのか。回収課の先輩死神として付き合いはそこそこ長いロナルドだが、このテンションの高さはいまだに理解に苦しんでいた。
「先輩…あら手の後輩イビリっスか…?」
ロナルドからしてみればもうこれはイビリを通り越して拷問の様だった。