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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第14章 アウローラ学会




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その頃、3等旅客食堂ではロナルドにソフィー、それにたまたま相席で飲み始めた男女5人がいい感じに盛り上がっていた。



「お、そろそろだな。」



ロナルドは腕時計に目をやると、間もなく針は0時を回ろうとしていたため少し急ぎ足に席から立ち上がる。



「おい、兄ちゃん!もう帰るのか?」


酔っ払った中年の男がロナルドにまだまだ早いだろと絡んできた。


「ちょっとオシゴトなんすよ〜」


ジャケットを着て早々に立ち去ろうとすると、ソフィーがアイコンタクトをするような艶っぽい目で見つめ、小さく声をかける。


「じゃあ明日もココで会わない?」


するとロナルドはクスッと笑みを溢してソフィーの耳元で囁いた。





「オッケー、生きて会えたらね。」






「やだぁ、何それ〜」


「何だよ姉ちゃん!コソコソ話はよくねぇぞ!」


「秘密よ秘密!!」


残った者達で再び騒がしくなると、ロナルドはその隙に目的の場所まで向かうべく食堂を後にした。






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そしてアウローラ学会の会場では、本日のメインイベント、「研究発表会」が開始された所だった。


会場の前には運ばれた棺と喪服を着た中年の夫婦。

それと、何やら怪しげな機材。



「マーガレット・コナー17歳。彼女は不運な事故で若くして命を落としました。実に痛ましい、あってはならない事故です。彼女の死は彼女だけでは無く、ご家族の心まで不健康にした。」


あけられた棺にはマーガレットと呼ばれた若い女が寝かされていた。
そして棺を運んできた男達によって、何やら体中に電気コードの様なモノが貼り付けられて行く。
ピクリともうごかないあたり、本物の死体なのだろう。



「では皆さんにお見せしましょう!!医学の力を!!完全救済を!!」



その掛け声と共に謎の機械のスイッチが押される。



マリアンヌはこれから何が起こるのかはあらかじめアンダーテイカーから聞かされていたが、実際に見るのは初めてだ。


緊張でかたく握った拳の内側がじんわりと汗で湿っていくのがわかる。


マリアンヌは食い入る様に中央の棺を見つめた。






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