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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第14章 アウローラ学会





キレの良すぎるフェニックスポーズから姿勢を直すと今度は会員達に向かって深々と頭を下げた。


「皆さん!本日はアウローラ学会“医学による人類の完全救済”研究発表会にお集まり頂きありがとうございます。完全なる救済とは何か?それは…完全なる健康です!!」



「(え…えぇ…)」



「健康な肉体!健康な歯!健康な肉体に宿る健康な精神!そして健康な天気!健康は実に素晴らしい!!」



「(こ、これが…リアンさん…?)」


「ヒッヒッ…リアンも相変わらずだね〜」



マリアンヌはこんなに喋るリアンを見るのは初めてだ。

いつも店にやってくる時は変装までしてやってくる上に、マリアンヌに声をかけてくる事など一度もなかったのだ。


マリアンヌが驚くのも無理ないだろう。



「…しかし、我々にはどんなに努力しても克服できない最大の不健康がある。それは何か…」



すると、会場からどよめきが上がる。



完全に皆、リアンのペースに惹き込まれている様子だ。





「…死です!!」




リアンは運ばれてきた棺に手をつき、どんなに努力をしても死には逆らえないと説いた。



「しかし!我々をその厄災から救ってくれる素晴らしい力…それこそがアウローラ学会の医学なのです!これから皆さんに我々の研究成果、“医学による完全救済”をご覧入れましょう。」



「(…………)」



この完全救済とは、おそらくはアンダーテイカーの研究していた成果を多分に含んでるに違いないと思ったマリアンヌ。しかし、リアンはいかにも自分が主体で研究してきた成果の様に語っている。



こんな姿を見てしまうと、変装までしてアンダーテイカーに会いに来ていた理由がようやく分かった様な気がしたマリアンヌ。



それと同時に人間の裏に隠れた汚い欲望まで見えてしまった気分になり、マリアンヌは軽く吐き気を覚えた。




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