第14章 アウローラ学会
「(アンダーテイカーさん…?)」
俯いていたマリアンヌはじっと動かなくなってしまったアンダーテイカーに気づくと、少し顔を上げたが、何やら悪い笑みをこぼしている顔と目が合った。
「キレイな白い肌だね…?ねぇマリアンヌ、ここに、キスをしてもいいかい?」
いきなりの問題発言にギョッとなり、ブンブンと横に顔を振るマリアンヌ。
「ヒッヒッ…そうかい…」
しかし、マリアンヌの返事を気にも止めずにその胸元に唇を付けたアンダーテイカー。
最初からマリアンヌの言う事など聞く気はないのだ。
しかし、嫌がるマリアンヌに強引に触れるのもまた一興なのだろう。
アンダーテイカーは実に楽しそうだ。
「(あ、あぁ……)」
唇で肌を吸われた感覚がマリアンヌの下腹部にキュンと響く。それと同時にアンダーテイカーの肩に置いていた手にギュッと力が入ってしまった。
部屋の隅とはいえ、こんな大勢の人間がいる場所でいったい何を考えてるのだ。
すると、顔を上げたアンダーテイカーの顔は満足そうに笑っていた。
「ごめんよ?つい我慢ができなくてね。でもご覧、この方が悪い虫がつかなくてちょうどいい。」
「(?!)」
そう言って胸元に指をさすアンダーテイカー。
つられるように視線を下に落とすと、会員証のバッチがついたすぐ近くに、赤い跡が付いていた。
「(こ、こんな所に…もう!アンダーテイカーさん!?)」
ドレスの布地と肌との境目の絶妙な位置に付けられた赤いキスマーク。
必死に胸元の生地を上にあげて隠そうとしたが、残念な事にこの存在を主張する赤い唇の跡は、隠れてはくれなかった。
「こうしておけばマリアンヌは小生の大切な宝物だってひと目で分かる。どんな悪い虫がマリアンヌに悪さをするかわからないからね。コレでいい。ヒッヒッ…」
すっかりご満悦の死神アンダーテイカーは、顔を真っ赤にしながら胸元を押さえているマリアンヌの手を取ると、会場の中央まで連れて行った。