第14章 アウローラ学会
「……………」
審査をする様に難しい表情で2人を見つめる男。
間違っていたら恥をかいた所の話ではない。
しかも、マリアンヌはヒールの靴を履いる。
この沈黙の中、変な緊張感で足がピクピクと震えだしてしまった。
すると……
「フェニーーーックス!!!」
その男もガバッと両手両足を広げ同じ掛け声、同じポーズをとった。
「(……!?!)」
「ようこそアウローラ学会へ。会員証のバッチです。」
男はマリアンヌの挨拶が正しいものだったと認めたのだろう。
マリアンヌの手にアンダーテイカーと同じ会員証のバッチを手渡すと、その男は何事もなかったかの様に去って行った。
「(……………)」
時間にしてわずか数秒だったかもしれないが、あんな意味不明な掛け声とポーズ、大勢の人前でやらされるなど、マリアンヌはしばらく時間が止まってしまったかの様な長い長い時間に感じた。
そして、顔を上気させたまま呆然としていると、隣からよく知る笑い声が聞こえてきた。
「ヒッヒッヒッ〜イ〜ヒッヒッ…いやぁ、いいねぇ〜マリアンヌのフェニックスポーズ、最高だったよ〜」
「(あ、あの…アンダーテイカーさん…あのポーズはいったい…)」
「えぇ?それは小生にもよく分かんないんだよな〜でも毎回毎回やらされるんだよ。まったく面白い事考えるね〜」
「(アンダーテイカーさんにも分からないんですか…)」
そう言うと、アンダーテイカーはマリアンヌの手から渡された会員バッチを手に取り、ドレスの胸元につけてやった。
「…………」
ヒールの靴を履いているが、それでもマリアンヌはアンダーテイカーより背は低い。
そのためアンダーテイカーは身を屈めてバッチをつけてやったのだが…そうすると、目の前には雪の様に真っ白な白い肌。
そして豊かな胸を強調するデザインのエンパイアドレスの胸元から、寄せて上げられた魅惑的な胸の谷間が怪しくアンダーテイカーを誘っている。
「ヒッヒッ……」
アンダーテイカーはその絶景に思わず口角を上げてしまった。