第14章 アウローラ学会
「ビャク、君も来るんだ。」
部屋の扉の前で振り返りアンダーテイカーがビャクを呼ぶと、ビャクはバスケットから出てきて飛んできた。
そしてアンダーテイカーの帽子の上にちょこんと着地をする。
「ビャク、今日はマリアンヌの肩だ。何があってもマリアンヌの側を離れるんじゃないよ?」
『クルルル…』
アンダーテイカーの言った事を瞬時に理解をすると、ビャクは帽子から降りてマリアンヌの肩に止まり大人しく羽をたたんだ。
「それじゃぁ、行こうか……」
パタンと扉を閉めると、2人は秘密結社、アウローラ学会の集会場所へと向かった。
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アウローラ学会の開会には合図がある。
ウエイターが空のグラスを持ちホールを巡回するのだが、アンダーテイカーは学会内部の関係者だ。
2人と一羽は1等旅客ラウンジを巡回するウエイターを素通りすると階段を上り目的地を目指す。
すると階段を途中まで上った所で、アンダーテイカーは大事な事を思い出しマリアンヌの耳元でとある事を小さな声で話し始めた。
「マリアンヌ、よくお聞き。アウローラ学会には定められた挨拶があってね…知らなければ即退場なんだ。小生は内部の関係者だから空のグラスは必要ない。でも挨拶は絶対…できなければいくら小生と一緒でも部外者とみなされてしまう。今から説明するからちゃんとやっておくれよ?」
「(は、はい……いったいどんな挨拶なのでしょうか……)」
「それはね……」
アンダーテイカーがヒソヒソと囁くようにアウローラ学会の合言葉と挨拶を説明すると、みるみるとマリアンヌの顔色が青くなっていく。
「(…そ、そんな……)」
ワナワナと震えて完全に戸惑っている様だ。
「できなかったら退場だからね〜くれぐれも躊躇わないように…ね?」
すると、アンダーテイカーはポケットから自分の会員バッチを取り出すとグレーのストールにつけた。
「マリアンヌは初めての参加者だから中に入ったらもらえるよ。さぁ、行こ?」
「(………)」
マリアンヌの頭は混乱状態だったが、退場になっては大変だ。
エスコートするアンダーテイカーの手をギュっとかたく握りしめると、再び階段を上りだした。