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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第13章 愛しているから不安なのです






「ふわぁ……やっべ、飲みすぎちゃったかな。」


ロナルドは両手を頭の後ろで組みながら大あくびをする。
夕方から飲み始めて結局解散になったのは23時だった。皆たまたま相席に着いた者同士だったのだが、アレコレと話題が尽きず知らぬ間に時間は過ぎていった。

廊下の窓から見える景色は真っ暗闇の中で柔らかく光る月のみ。もう日付も変わろうとしているのだから当たり前だ。


「さってっと…」


明日はひとまず朝寝坊を決め込むかとジャケットのポケットからカギを取り出そうと手を突っ込んだ時だった。




ートントンー




「!!??」




背後からいきなり肩を叩かれロナルドは勢いよく振り返る。それと同時にポケットの中で掴んでいたカギを離すと、潜ませておいたナイフに指を当てた。




「フフフ……驚かせちゃったかしら??」



「…えぇ?!君……」



ロナルドの肩を叩いたのはさっきまで一緒に飲んでいたソフィー・スミスという女だった。

まったく気配を感じさせなかった事に少し警戒したが、この女はただの女だ。何も気にすることはない。



「ねえ…部屋、1人部屋?」



「え?そうだよ…」



「いいなぁ…私、3等の客室だから相部屋で…ねぇ、貴方のお部屋、お邪魔しても…いい?」



少し遠慮がちに、恥じらいを見せつつも大胆に…ソフィーはねだるような視線でロナルドに問いかけた。



「………」




なんだ、そういう事か…




清楚系の美人な割に、意外と大胆。

でもそんなギャップもロナルドは大好物だ。

ロナルドはソフィーの言いたい事を理解すると、いつものスマイルの表情に戻し、軽快に答える。




「どうぞ、ソフィーみたいな美人なお客様は大歓迎。」


「あら、お上手なのね。」


ロナルドはソフィーの腰に手を回すと部屋のカギをあけて中に招き入れた。







ーカチャー


少し狭いが立派な個室だ。

カンパニア号の宿泊代は死神派遣協会の経費で支払われている。本来ならロナルドも1番安い3等の相部屋の予定だったのだが、総務課から会計課まで様々な課の女と仲を深めているロナルドはその人脈を駆使し、個室の2等室をとってもらっていたのだ。



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