第13章 愛しているから不安なのです
「(あの…アンダーテイカーさんは今、何歳なんですか?)」
「え?小生の事かい?そうだねぇ…もういくつだったかなんて数えるのはやめてしまったほどかな?分かりやすく言えばそうだね…今のファントムハイヴ伯爵の先代、そしてその先代、さらにその先代くらいはずっと見守ってきたよ。」
その真実にギュッと胸が痛くなる。
「(そう…なんですか…ではこれから先もずっと、ずっと…そのまた、ずっと…アンダーテイカーさんはこのままの…美しい姿なんですね?)」
「ヒッヒッ…美しいだなんて言ってくれるのはマリアンヌだけだよ?でもまぁ、特に考えた事もなかったけど、小生はずっとこんなナリだねぇ〜」
ずっとこんなナリ…
「………」
マリアンヌの顔が快晴の青空とは真逆にどんどんと曇っていく。
「ん??いったいどうしたんだい?」
「(あ、あの……そしたら私がこれからどんどん年をとってもアンダーテイカーさんはずっとこのままなんですよね?…私が…お婆ちゃんになっても…)」
マリアンヌの言いたい事が理解できたアンダーテイカーは、身体を反転させて向かい合わせになると、マリアンヌの両頬を包み込んで答えた。
「そんな事が心配なのかい?小生はマリアンヌが年をとっても、お婆ちゃんになっても、ずっとずっと愛しているよ。例え、マリアンヌが年老いて死んでしまっても、小生が愛し続けるのはマリアンヌだけ。マリアンヌ以外愛そうなんて、考えた事もないからね?でも…」
「(???)」
「でも…できたら小生はマリアンヌと一緒に死にたいな……」
「(アンダーテイカーさん……)」
すると、アンダーテイカーの視線は優しく微笑みながらも僅かに憂いを纏いマリアンヌを見つめる。
「もう小生は…ひとりぼっちになるのは嫌なんだ…まぁ、今している研究はそのためにやってるんだけどね。それと…そうだねぇ、もしマリアンヌが年老いて死んでも、魂だけはずっと小生の手元に置いておきたいな。あっ、でもそうなるとマリアンヌはずっと生まれ変わる事ができないね…それでは君がかわいそうだ…」
アンダーテイカーは潮風で少し冷たくなった頬を撫でながら続けた。