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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第13章 愛しているから不安なのです





「マリアンヌ、あんまり身を乗り出すと船から落っこちてしまうよ。気をつけて…」


少しはしゃいでいたマリアンヌの横に立つと、落っこちない様に後ろから腰に腕をまわすアンダーテイカー。


「(あ…ごめんなさい…つい…)」


子供っぽい事をしてしまった自分に恥ずかしくなり慌てて身を乗り出すのをやめたマリアンヌ。

横を見ると潮風になびく美しい銀髪の美しいアンダーテイカーの姿。

現役の死神が潜伏している事を警戒してか、今日のアンダーテイカーは正装をしても前髪はいつもの様にたらしたままだった。

しかし今は風にふかれ、黄緑色の瞳を細めながら遠い水平線を見つめている。

長身のアンダーテイカーの顔を見つめようとすると自然と見上げる形になってしまうが、潮風になびく銀髪の美しい死神の姿をこんな近くで見る事ができるのはこれから先もどうか自分だけであって欲しい。

マリアンヌは、そう願う様にその横顔を見つめた。



「(…………)」



アンダーテイカーは離脱組だが、死神としてファントムハイヴの血筋をずっと見守ってきたと言っていた。

きっとそれは長い長い年月だったに違いない。

そんなに長い間この世に存在していているはずなのに、アンダーテイカーは少しも年をとっている様には見えない。

自分は3年以上ずっと側にいたが、アンダーテイカーの美貌は変わらずだ。

そうなると、当然だがマリアンヌの胸は不安でいっぱいになる。

あまり考えないようにしてきたが、アンダーテイカーが美しければ美しい程その不安は大きくなるばかりだ。


「……ん?」


すると、そんなマリアンヌの視線に気づいたアンダーテイカーはニッコリと微笑みながら目を合わせる。



「どうしたんだい?」


「(……あ、あの………)」



今まで1人で抱えていた不安。

それを話してもアンダーテイカーは自分を嫌ったりしないだろうか…

できればこんな話、したくなかったが1人で抱え込むのもそろそろ限界だった。



マリアンヌは、アンダーテイカーが自身に向けた柔らかい微笑みに甘えてみようと、ポツリポツリと話し始めた。


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