第11章 死神アンダーテイカーの裏の裏
マリアンヌは戸惑いながら答えているが、アンダーテイカーからしてみれば“そんな事…”だ。
「そんな事、小生は絶対にしないよ?小生が愛してるのは後にも先にもマリアンヌだけだ。それに、マリアンヌ以外なんて考えられない。」
そう言いながらマリアンヌの顎を掴むと、そっと触れるだけのキスをする。
「…もし、小生が人を殺す様な事をしたら…マリアンヌはどうする?」
「(…え?!)」
その質問にマリアンヌのヘーゼルの瞳が大きく揺れる。
「小生はね…ずっと研究していた事があるんだ。」
「(研究…?!ですか?)」
「そう…最初はただの好奇心からだった。定められた終わりの先を見てみたい…というね。でもね、ファントムハイヴとの繋がりを失い、君と出会ってからその研究目的は大きく変わった。」
「(……??)」
「小生は、君を未来永劫…いや、死神の小生がこの世から消滅するまでの間、決して失いたくないんだ。だから、人体蘇生の実験を秘密裏にしているカルンスタイン病院の上層部で結成された“アウローラ学会”を隠れ蓑にしてずっと研究を進めてきたんだ。大切な君に何が起こっても…それを“なかった事”にできる様に…」
「(で…ではリアンさんは……)」
「まぁ、彼は小生の目的にはおあつらえ向けの人材だからねぇ…利用させてもらってるんだよ。」
「(………)」
「で、本題はここから…まぁ、秘密結社の活動とはいえ、内容が内容だからね。まだ開発途中にも関わらず、欲しがる酔狂な連中がいるんだ…まだ開発途中の“ソレ”をある事に使いたいとね。その実験兼集会が4月にある…その内容はね………」
アンダーテイカーは4月に行われる集会に隠された“実験”の内容をマリアンヌの耳元で囁いた。
「(………そ、そんな……)」
「隠すつもりはなかったんだ。でも君が小生に気を遣って聞いてこないのに甘えてしまっていた。ごめんよ…でも4月に行われる裏の“実験”には色々と危険が伴うからね。もうマリアンヌに話さないわけにはいかなくなったんだ。」
アンダーテイカーは包み隠さず、言い訳もせず、淡々と話を続けた。