第11章 死神アンダーテイカーの裏の裏
マリアンヌを抱きしめながらアンダーテイカーはどう話を切り出そうか迷っている。
心から愛するマリアンヌという存在がいながらも、アンダーテイカーは裏でひっそりと研究している事があり、それを話すべきかどうかずっと迷っていたのだ。
最初はただヒトへの好奇心だった。
だが、大切なモノを失い、そして二度と失えないモノを手にしてしまった今、その研究はなんとしても成し遂げたいモノへと変化していく。
この3年、マリアンヌが聞いてくれば答えてやろうと思っていたが、当の本人は自分に気を遣ったのだろう。
地下の応接室から出ていく様に言おうと、1人で仕事に出かけようと、その内容を根掘り葉掘り聞いてくるような事はしなかった。
その気遣いに甘えていたが、そろそろ話しておかなければならないだろう。
間もなく4月だ。
「例の会合」も予定している。
一緒に連れて行くにしても、置いていくにしても相当なリスクを伴う。
そう考えると、アンダーテイカーは話さないわけにはいかなかった。
「ねぇマリアンヌ?マリアンヌは小生がどんな事をしていたら怒るかな?」
「(……え??)」
マリアンヌはリアンとの話の内容をされるのかと思っていたため、突然の問いかけに困惑し、首を傾げてしまう。
「ごめんよ、色々話したい事があるんだけど、順番を考えるとコレが先なんだ。」
アンダーテイカーはマリアンヌの頬を撫でながら優しく答えた。
「(……………)」
アンダーテイカーがしていたら怒ること…
そんな事急に聞かれても、何と答えればいいのだろうか…朝まで激しく抱かれたり、起きぬけに愛されたり、時々店を放置してベッドに連れて行こうとしたり…と、呆れてしまう事こそあれど、怒り狂うような事など今の今までなかった。
そのためしばし考え込んでしまう。
そして悩みに悩んだ挙げ句、マリアンヌはアンダーテイカーの手を取った。
「(あの…私は今までアンダーテイカーさんに怒るような事など…なかったと思います…なので、返答に困るのですが…えーと…アンダーテイカーさんが浮気…とかしてたら怒るんじゃないかと…)」
マリアンヌは戸惑いながらも答えた。