第11章 死神アンダーテイカーの裏の裏
「(……………)」
アンダーテイカーはもう寝室に向かう気満々だった。
少しでも時間稼ぎをしなければ身体がモタない。
マリアンヌは掃除のゆき届いた狭い応接室にも関わらず、テーブルを拭き、ソファを拭き、床を掃き、大掃除の如く一心不乱に掃除をした。
「マリアンヌ〜?!」
「(……ひっ!!)」
中々戻ってこないマリアンヌに焦れたのだろうか?背後から名前を呼ばれたマリアンヌは無言の悲鳴を上げ、ピクリと肩を震わせた。
そしておそるおそる振り返ると、開けっ放しの扉に背中をつけ、腕を組んで立っているアンダーテイカーと目が合った。
しかし、口元はいつもの様に緩く弧を描き、焦れて機嫌が悪いわけではなさそうだ。
「ねぇ?マリアンヌ…小生がリアンと何を話していたか知りたいかい??」
「(……え?)」
まったく予想もしてなかった発言にピタリと作業をしていた手が止まってしまう。
リアンと話していた事……
聞きたくないと言えば嘘になるが、無理に聞く必要もなかったマリアンヌは返答に悩んでしまう。
黙って悩んでいると、アンダーテイカーは応接室に入り、ソファに腰掛け両腕をマリアンヌの前に出した。
「マリアンヌ、こっちにおいで。」
「(は、はい……)」
マリアンヌは持っていた掃除道具を床に置くと、素直にアンダーテイカーの元まで行き、向か合わせになるといつもの様に膝に跨った。
「答え難そうだね…そしたら質問を変えよう。…マリアンヌ?小生の話を聞いてくれるかい?」
「(………)」
アンダーテイカーは返答に困ったマリアンヌの様子を見て、質問を変えてきた。
ここまで言うのであれば、きっと自分にとっても大事な話なのだろう。
マリアンヌはアンダーテイカーを見つめると、コクリと頷いた。
「そうかい…ありがとう。そうだね、まず何から話そうかね…」
アンダーテイカーはマリアンヌの腰に腕をまわすと、小首を傾げながら少し考え込んだ。