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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第10章 その死神、激情






身体が硬直してしまい動けない。


胸が締め付けられ呼吸も苦しい。




「マリアンヌ……」



すると、自身の名前を呼ばれた。

身体がビクッと反応する。

ガタガタと震えてしまうが、聞こえなかったフリなどできない。

マリアンヌはかたまって動けなくなってしまった身体を必死に起こしベッドの縁にペタリと座ると、アンダーテイカーはコツコツと踵を鳴らして近づいてきた。





胸ぐらを掴まれるだろうか

髪を乱暴に引っ張られるだろうか

殴られるのだろうか





……怖い……怖い……怖い……






「(いやぁ……コワ…イ……)」



マリアンヌは何も言わずに近づいてくるアンダーテイカーへの恐怖が頂点まで達してしまい、条件反射の様に両腕を顔の前でクロスさせると、そのまま顔を背けてしまった。












「(……………??)」



しかし、想像していた衝撃がいつまでたってもやってこない。



「(……………??)」



恐る恐るクロスさせていた腕をおろすと、目の前に立っていたアンダーテイカーは突然崩れ落ちるように床へ膝をつき、ベッドに座り込んでるマリアンヌに抱きついた。













「マリアンヌ…すまなかった……」










消え入る様な声で呟いた言葉はマリアンヌを攻める言葉でも、罵る言葉でもなかった。



ただ一言、マリアンヌの名を呼び謝罪をした。




「(…アンダーテイカーさん…どうして…)」



マリアンヌはあんなに怒り狂っていたアンダーテイカーが何故今自分に謝罪をしたのかわけが分からない。

しかし、アンダーテイカーはマリアンヌの膝に頭を預け、腰に腕をまわししっかりと抱きしめている。


その肩が少し震えてる様に見えたのは気のせいだろうか。


すると、アンダーテイカーはゆっくりと顔を上げてマリアンヌを見上げた。



「(………!!??)」



まさかの信じられない光景にマリアンヌは驚愕し戸惑う。



マリアンヌを見上げる美しい黄緑色の瞳からは涙が溢れ、アンダーテイカーの頬を濡らしていたのだ。


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