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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第8章 死神との生活





「イ〜ヒッヒッ、大きいとは聞いていたけど、本当にすごいね〜!」



「(アンダーテイカーさん…これって……)」



「マリアンヌへのサプライズデザートだ。まぁ、小生が食べたかったって言うのもあるんだけどね〜」


そう言いながらアンダーテイカーは早速細長いデザートスプーンを使ってアイスを頬張りだした。


「(あ……)」



よく見ると、沢山積み上げられたアイスや果物や生クリームのてっぺんに飾られたハート型のクッキーには……


「大切なマリアンヌへ、心からの祝福を」


とチョコレートで書かれていた。






大切な……


大切な……って…


大切って、大事って事で……


その意味は…その意味は…






今まで生きてきた15年間、マリアンヌは何か自分だけの物を所有してきた事などなかったため、当然“大切な”何かを持っていたことなどない。


だから、自分がアンダーテイカーにとってそんな存在になっているなんて、相手がいくら信頼している死神だとはいえ、すぐに信じる事なんてできなかった。

でも、チョコレートで綴られたその短いメッセージは、マリアンヌの心の奥の奥にジンワリと温かく染み込んでいく。



「(アンダーテイカーさん……)」



気づくと視界が涙でボヤケて、目の前のパフェも、美味しそうに頬張っているアンダーテイカーの顔も歪んで見える。


1回でも瞬きをしたら涙が溢れてしまいそうだ。


でもこんな公共の場で泣き出すのは恥ずかしい。


懸命に堪えて引っ込めると上機嫌のアンダーテイカーがマリアンヌの顔を覗き込んできた。


「マリアンヌ〜?どうしたんだい?早く食べないと、小生が全部食べてしまうよ〜ヒッヒッヒッ。」



見た目に似合わず甘い物が大好きなアンダーテイカー。よく見るとパフェの反対側がアンダーテイカーによって殆ど食べられてしまっていた。


豪華な料理でだいぶ満腹だったが、せっかくのサプライズデザートだ。


マリアンヌも細長いスプーンですくって口に入れると、冷たくて甘いアイスが心地良く口に広がり自然と笑顔になった。


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