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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第8章 死神との生活




「(そ、そんなに笑わないで下さい…私、こんな所くるの、初めてなんです…)」


「大丈夫、すぐに慣れるさ〜」


そんな会話をしていると、ウエイターがやってきて、氷に浸かっていたシャンパンの瓶フタをあけると、細長いグラスに注いだ。


「(アンダーテイカーさん…これは…)」


「祝い酒のシャンパンだ。アルコールは殆ど入ってないから酔っ払う事はないと思うよ。まずはレディ・マリアンヌの成長を祝って乾杯だ。」


そう言うと、アンダーテイカーはグラスのフチを軽く重ねて小さく“チンッ”と鳴らしてみせた。



初めて飲む酒に心踊らせたマリアンヌだったが、確かにそこまでアルコールの香りはしなかった。

アンダーテイカーの言うように酔っ払う事はなさそうだ。ほのかに甘い味わいで、飲みやすい。







そして、次々に運ばれてくる料理はテーブルマナーを習ったばかりのマリアンヌでも食べやすい物ばかりで、徐々に緊張がほぐれていくのを感じた。




まさかとは思うが……




「(もしかして、アンダーテイカーさん、私のために食べやすい物だけを注文して下さったんですか……?)」




「さぁ、どうだったかな〜?」




「(…………………)」



少し間を置き小首を傾げると、なんとも有耶無耶な受け答えをするアンダーテイカー。

だがその反応でマリアンヌは先程アンダーテイカーがウエイターに注文していた内容が十分に分かってしまった。


テーブルマナーがまだ未熟な自分でも恥をかかないように気をまわしてくれたのだ。



何故……


何故こんなにもアンダーテイカーは自分に優しいのだ。

これは、ごく普通の人間なら誰にでもして当たり前の優しさなのか。

それとも自分を特別な存在として扱ってくれている優しさなのか。


ずっと聞けずに胸にしまっていた疑問だったが、今なら聞けるだろうか。


聞いても…いいのだろうか。



「(あ、あの…アンダーテイカーさん……)」



マリアンヌが勇気を出して声をかけようと思ったその時だった。





「失礼致します。こちらはデザートの特製特大パフェでございます。」





「(え?!なにこれ?!)」




テーブルの真ん中に置かれた特大のパフェにマリアンヌは大きなヘーゼルの瞳をパチパチさせながら驚いた。


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