第8章 死神との生活
「(………………)」
自分は決して素敵でも美しくもない。
隣を歩いて恥ずかしい思いをさせてしまうなどと危惧するのは、アンダーテイカーではなく自分の方だ。
アンダーテイカーはどうしてこんな自分にこんな言葉を、なんのためらいもなくかけるのだろうか。
マリアンヌには、アンダーテイカーの気持ちや考えている事などまったくもって分からなかった。
「さぁ、着いたよ〜」
アンダーテイカーが連れてきたのは、店から20分程歩いた場所にあるいかにも高級そうなレストランだった。
「(え?こ、こんな所で食事するんですか??)」
「そうだよ?せっかくのレディへのお祝いだ。」
「(で、で、でも……あの…その…)」
「別に緊張することないさ〜。テーブルマナーは小生の教えた通りにすれば問題ないし、分からなければまた教えてあげるさ〜さ、入るよ〜」
腕を組んだままなかばズルズルと引きずられるように店内に入ると、中は少し薄暗く、天井には豪華なシャンデリアが淡い光を灯していた。
足元はフカフカとした絨毯がひかれており、ビシッと制服を着こなしたウエイターに案内をされる。
2人が案内されたのは、広い店内の最奥、数段の階段で段差のついた、いかにも特等席の様なテーブルだった。
「素敵な席だね〜、気に入ったよ。」
「ありがとうございます。」
店員のエスコートで座席につくと、アンダーテイカーはメニューを見ずに何やらアレコレと注文しだした。
その様子から見るにもう食べたい物は決まっているのだろうか。
「マリアンヌ〜、小生の方で適当に決めてしまったけれど、大丈夫だったかな〜?」
店員がさっていった後、アンダーテイカーはマリアンヌに一応の確認をとったが、こんな勝手の分からない高級な店に来るのは初めてなのだ。
「(は、はい!!大丈夫です!!)」
何も問題ない上に好都合だった。
「そんなに緊張しなくても大丈夫だよ〜マリアンヌは可愛いね〜ヒッヒッ。」
アンダーテイカーは緊張してソワソワしているマリアンヌを見ながらニヤニヤと笑いだした。