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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第5章 死神は御満悦




しかし、そんなマリアンヌの制止に構うことなくアンダーテイカーはカゴを店の外に持っていこうとしてしまう。


「(あぁ!!待って…待って下さい!)」



「心配しなくても、もうこの子は放したって生きていけるよ。」



「(ち、違うんです!!お願いです!アンダーテイカーさん!)」



マリアンヌは腕を掴んでも無駄だと判断したのか、店の扉に背中をつけて、外に出るのを阻止してしまった。


「ん?マリアンヌ〜?いったいどうしたって言うんだい?」


アンダーテイカーが怪訝な顔をして首を傾げると、思ってもみなかった言葉が返ってきた。


「(あ、あの…アンダーテイカーさん…お願いです。その鳩…私、飼いたいです…)」



「え?えぇ〜〜!?小生は嫌だよ〜」



動物は嫌いではなかったが、この店は自分とマリアンヌの2人だけの空間だ。

小さな鳩といえど第三者の存在を入れるなど考えられなかった。



「(お、お願いです。私がちゃんと面倒みますから!!)」



マリアンヌは瀕死の状態の鳩を必死に看病していくうちに徐々に愛着が湧いてしまったのだろう。
アンダーテイカーはまさかの展開に、鳩の世話をマリアンヌに託した自分を少しばかり恨んだ。



「え〜そんな事言われてもな〜」



しかし、マリアンヌは頑なに引こうとしない。



「(お願いです!お願いです!アンダーテイカーさん…お店のお手伝いも、なんでも言うこと聞きますから…)」



「う〜ん……」



どうしたものかと頭を悩ませるていると、なかなか首を縦に振らないアンダーテイカーを見て、マリアンヌは本気で外に放してしまうのだと思ったのだろう。



裏路地で鳩を見つけた時と同様に泣き出してしまった。


「(……うっ…うぅ…お願いです。お願いです…この子を外に放さないで下さい…ちゃんと自分で面倒みますから……アンダーテイカーさん…お願い……です…)」



「マリアンヌ……」



硝子玉の様な瞳からポロポロと涙を流し見上げられてしまえば、何も言えなくなってしまうのはアンダーテイカーの方だ。




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