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君は小生の宝物/葬儀屋/黒執事

第5章 死神は御満悦






「う〜ん……」



マリアンヌが望むものはなんでも叶えてやりたいというのは本当だ。

でも普通、年頃の女が欲しがるものと言えば服やアクセサリー等の装飾品の類ではないのか?



普段から大人しく物をねだる様な事をしなかったマリアンヌが、今は小さな鳩1羽に駄々をこねてる状態だ。

さすがのアンダーテイカーも戸惑いを隠せないようだった。


しかし、懇願するマリアンヌの瞳からは涙が次々に溢れ出し、まったく止まる気配がない。



「…困ったね〜。このままじゃ、小生が悪者になってしまうじゃないか…」


いや、悪者では済まされないだろう。

ここでマリアンヌの願いを叶えず強行突破をしてしまえば、きっと自分は一生口をきいてもらえない。

それだけではない。

せっかく健康を取り戻したのに、再び寝室に引きこもる様になってしまっても大変だ。




仕方ないが、ここは自分が折れてあげなくてはならない。アンダーテイカーはカゴを抱えたまま小さく両手を上げると降参とばかりに口を開いた。



「マリアンヌ、分かったよ。分かったからもう泣きやんでおくれ。小生はマリアンヌを泣かせたいわけではないんだ…」



その言葉を聞くと、マリアンヌはしゃくりあげながらも袖で目元をこすり、なんとか涙を止めて見せた。



「よしよし、良い子だね。落ち着いたかい?こっちにおいで。小生と話をしよう〜」


マリアンヌの手を引くと、カゴをカウンターに、アンダーテイカーは膝にマリアンヌを跨がらせて座るとゆっくりと話し始めた。


「これからマリアンヌと鳩君に大事な話をするからよく聞くんだよ。」


アンダーテイカーは人差し指を立てると、小さな子供に言い聞かせるような仕草で話を始めた。



「まずはマリアンヌ。いいかい?マリアンヌは小生の大切な宝物だ。小生はいつでもマリアンヌが側にいて、いつでも小生を優先してくれなきゃ困る。」



「(あの……それってつまり……)」



「そう、その鳩を飼う条件。マリアンヌは今まで通り1番に優先するのは小生だ。それが守れるなら飼うことを許してあげよう。」




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